腰痛や坐骨神経痛において牽引療法の効果はあるのか?
ということについて当院の見解をまとめてみました。

医学的に効果が認められていない療法でも実際に効果があるものもあります。
かといって医学的に有効と言われているものでも効かないこともあります。

外側の情報と内側の感覚や直観とのバランスをうまく取りながら情報を選択していく必要があります。

牽引療法とは?

牽引治療とは、体を固定して牽引器具で引っ張る治療です。
腰痛における牽引治療では脇の部分と骨盤の部分を固定して、骨盤部分をおもりや電気の力で引っ張ります。

整形外科や整骨院などで行われている物理療法の一種です。

牽引の目的

牽引治療は脊椎の隙間を広げることで椎骨や椎間板にかかるストレスを軽減する目的で行われています。

牽引療法の有効性

腰痛診療ガイドラインより

腰痛診療ガイドラインでは「牽引療法が腰痛に対して有効であるエビデンスは不足している」と書かれています。

坐骨神経痛の有無を問わない腰痛に対する牽引療法のRCT25件(患者2006例)の系統的レビューによると、単独治療としての牽引療法はプラセボ(sham牽引)と比較して、3か月後および12か月後の疼痛、機能、可動域、欠勤などのすべての項目において有意差がないことを示す質の高いエビデンスが存在し、腰痛患者全般に対する牽引療法が有効である可能性は低い

引用:腰痛診療ガイドライン(P.47)より

ここでsham牽引という言葉が出てきます。
実際の牽引は体重の35~50%の力で行いますが、プラセボのsham牽引は体重の20%以下の力で行います。

牽引療法の肩を持つつもりはまったくありませんが、かなりへそ曲がりの見方をすれば、プラセボであるはずのsham牽引も通常の牽引療法と同程度の効果があったという見方も出来ます。

と言いますのも、当院でも牽引のような手技を行いますが、その際に非常に繊細な力で行います。
sham牽引が体重の20%以下とすれば私の牽引はおそらく体重の5%~1%かそれ以下の力で行います。

それでも劇的な変化が見られることがあります。(疼痛、機能、可動域)

一方、坐骨神経痛を有する腰痛患者に限定すれば、相反するエビデンスが複数存在し、一定の結論に至っていない

引用:腰痛診療ガイドライン(P.47)より

とも書かれています。

坐骨神経痛を持っている腰痛患者の場合には牽引療法は効くという説と効かないという説があるようです。

牽引はかなり見当違いなやり方ではないか?

牽引療法についてかなり自由に個人的に思ったことを述べます。
あくまでも私の個人的な見解ですのでそのつもりでお読みください。

従来の腰痛治療の世界では、椎骨同士の隙間が狭くなっていること(椎間狭小)も腰痛の原因と考えられていました。
そこで牽引してその隙間を広げていこうとやっているのが牽引療法というわけです。

しかし、時代が進み椎間狭小は健常者にも一般的にみられることであり、腰痛の原因なのかどうかは不明である、むしろほとんど関係ないのでは、という考えに変わってきています。

椎間狭小と腰痛が無関係であるならば、牽引療法と言うのはまったく的外れな治療なのではないか?
と思ってしまうわけです。

例えば頭痛がする患者に対して、あなたの頭痛はおでこのしわが原因だからしわを伸ばす治療をしましょう、みたいなことをやっているわけです。
つまりまったく見当違いなことをしているわけです。

非常に乱暴な治療ではないか?

私は操体法という手技を行います。
一般的な整体と比べてもかなり繊細な手技です。
繊細な感覚も要します。

その立場から言えば牽引療法は非常におおざっぱで雑な治療であるとの印象を受けます。

仮に従来の考え方の通りに、腰痛の原因が椎間狭小(背骨の椎骨の感覚が狭くなっている)だったとしましょう。
その狭くなっている部分が第四腰椎と第五腰椎の間にあったとしましょう。

手技であればその狭くなった椎間を広げるような施術をすべきと考えるところです。
しかし牽引療法では脇と骨盤を固定して大雑把に脊柱を引っ張ります。

もしかすると、正常な部位に不要なストレスを与えてしまう可能性もあります。
実際に牽引治療を受けて症状が悪化した話も聞いたことがあります。

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折りたたみ式?伸縮式の釣竿がありますよね。
この画像のような釣竿です。

その伸縮式の竿の一部が引っかかって伸びなくなったとしましょう。
そこで釣竿の先と根本をつかんで強く引っ張ったとしたら、正常な部分が壊れてしまう可能性があります。

牽引療法というと何かそんなイメージが浮かんでしまいます。

実際にはクライアントの体重や症状に合わせて重さも調節するので大きな危険はないとは思いますが、効くか効かないか一か八かみたいな印象があります。

牽引療法が効果があるケース

私が個人的に耳にした話では牽引療法を受けて良かったという人にはほとんど会ったことがありません。
効果を全く感じられないか、かえって悪化した話ばかりです。

それもそのはずで整体院に来るのは整形外科や整骨院では良くならなかった人が来ますから、当然と言えば当然です。
整形外科で良くなった人は来ないですもんね。

しかし牽引療法で改善している人もいると思うんです。
実際にこれだけ長い期間使われてきたし、普及もしているのだからそれなりに効果はあると思っています。

牽引によって筋肉や筋膜へのストレッチ効果が得られます。
ちょうど身体が必要としている部位に効果が及ぶ場合のみよい効果が出ると思われます。

まとめ

エビデンスとしてはかなり弱いかんじですね。
しかし、中には効果がある人もいるようです。

牽引療法を受けるかどうかは実際に試してみないとわからない面もあります。
受けた感じが「気持ちよいかどうか」で判断すると良いでしょう。

気持ちよく感じる場合にはそれなりの効果が期待できると考えられます。
痛みや不快感がある場合には悪化する可能性もあります。

リスクもありますしほかにも効果的な方法はたくさんあります。
結論としてはよっぽど必要を感じる場合以外では牽引療法は避けた方が無難ではないかと思います。