坐骨神経痛とは

坐骨神経痛とは、坐骨神経の支配領域に痛みやしびれが出る症状を言います。坐骨神経は人間の神経の中でも最も太い神経でペン軸ほどの太さがあります。

坐骨神経痛とは、腰から足にかけて伸びている「坐骨神経」がさまざまな原因によって圧迫・刺激されることであらわれる、痛みやしびれなどの症状のことを指します。

多くの場合、腰痛に引き続いて発症し、次にお尻や太ももの後ろ、すね、足先などに痛みやしびれがあらわれるだけでなく、麻痺や痛みによる歩行障害を伴うこともあります。

引用元:http://toutsu.jp/pain/zakotsu.html

この説明にもある様に、これまでは坐骨神経が圧迫されて痛みやしびれが生じると考えられてきました。このページでは従来の考えと共に、近年医学の世界でもわかってきたことを含めて紹介します。

坐骨神経痛の原因(従来の説)

坐骨神経痛の原因も様々ですが、これまで考えられてきた原因について紹介します。これまで考えられてきたということは、現在ではそれが原因とは限らないということに変わってきているのです。新しい考えについては後で改めて解説します。

椎間板ヘルニアによる神経圧迫

椎間板とは背骨の椎骨と椎骨の間にある軟骨でできたクッションのことです。椎間板ヘルニアとは、そのクッションが何らかの原因ではみ出てしまうことです。そのはみ出た部分が神経を圧迫して痛みやしびれが生じると言われてきました。

ところが、MRIなどの検査機器の普及により腰痛や下肢痛がまったくない健常者にもごく一般的に椎間板ヘルニアが見つかることがわかってきたのです。

ヘルニア以外に背骨の異常は健常者にも普通に見られるのです。

腰痛患者群200名と健常者群200名を比較した調査では、脊椎すべり症、腰仙移行椎、潜在性二分脊椎、椎間狭小、変形性脊椎症、脊柱側彎症などの異常が見つかる割合が腰痛患者群と健常者群でほとんど違いがみられないという研究データもあります。

(Fullenlove TM & Williams AJ:Radiology,1957 より 参考文献:腰痛ガイドブック)

つまり、健常者でもごく一般的に脊椎や骨盤の異常は見つかるので、その異常が坐骨神経痛の原因とは直接関係ないのではないかということがわかってきたのです。

腰部脊柱管狭窄症

椎間板ヘルニアと同様に坐骨神経痛の原因と言われている代表的なものが脊柱管狭窄症です。

脊柱管とは背骨の内側の脊髄神経が通る穴のことです。脳から出た脊髄神経はお尻のところまで繋がっています。その神経の通り道が脊柱管です。老化などにより脊柱管が狭くなり脊髄神経を圧迫して、下肢に痛みやしびれが生じると言われています。

しかし、脊柱管が完全につぶれているのに症状がない人もいれば、少し狭くなっているだけで激しい痛みが生じている人もいます。

狭窄症は腰部の脊柱管で起こることが多いです。腰部脊柱管狭窄症と言います。脊柱管狭窄症と言えば、間欠跛行(かんけつはこう)と呼ばれる特徴的な症状があります。

間欠跛行(かんけつはこう)とは

しばらく歩くと足にしびれや痛みが出てきます。腰を丸めてかがむような姿勢を取ると楽になります。しかしまた体を起こして歩きはじめると痛みが出てきます。このような症状を間欠跛行と言います。

梨状筋症候群

坐骨神経痛の原因として、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症が該当しない場合で、梨状筋という臀部の深層筋の関与が言われることもあります。ちょうど坐骨神経は梨状筋のそばを通っているので、梨状筋の圧迫をうけて坐骨神経痛が生じると考えられています。

その他の原因

その他、脊髄のガンや神経の重篤な病気により坐骨神経痛が生じることもあります。そのような場合には専門医の診察と治療を受けることが最優先です。

一般的な治療法

坐骨神経痛の治療法として、病院で行われている治療を紹介します。治療法には大きく分けて保存療法と手術があります。保存療法で改善が見られない場合に手術を選択するという流れになります。基本的には保存療法で様子を見ることが多いです。

保存療法

緊急に手術を要する場合を除き、基本的には保存療法で経過を観察するのが一般的です。急性期には、消炎鎮痛剤を服用したりコルセットを着用したりします。急性期を過ぎたら温熱療法やストレッチなどが行われています。

消炎鎮痛剤

消炎鎮痛剤とは痛み止めの薬です。内服するものと湿布薬があります。内服薬は胃腸の負担になるので胃薬も同時に出されたりします。長期に渡って鎮痛剤を飲んでいた人ほど整体の施術の効果が出にくい傾向があります。

痛みを止めることは生体反応を鈍らせることにもなりますので、長期に渡っての服用はそれなりにリスクもあると思います。

神経ブロック注射

内服薬が効かない場合にブロック注射を勧められます。ブロック注射は神経を麻痺させて痛みを感じなくさせる注射です。ペインクリニックや整形外科等で行われています。

痛みをコントロールすることで苦痛を減らすことが出来ますが、根本的な原因が変わらないとブロック注射を繰り返してもなかなか治らないケースもあります。

また、ブロック注射をしてもまったく効果を感じられない人もいます。

理学療法(リハビリ・牽引・温熱療法)

主に急性期の激しい痛みが過ぎた後に用いられます。理学療法によるリハビリは理学療法士の指導の下で行われます。牽引は医学的に有効かどうかはよくわからないようです。

個人的には牽引治療は気持ち良ければいいのですが、苦痛を伴う場合は避けた方が無難です。牽引に限らずストレッチなども苦痛を感じるものを無理してやると悪化する恐れがあります。

手術

保存療法で効果が見られないと手術を勧められます。手術には保険が効くものと効かないものがあります。

ヘルニアの大きさにもよりますが、傷口も小さくて一日程度の入院で済む手術もありますし、切開してヘルニアを取り除き長期間の入院やリハビリが必要なものもあります。

坐骨神経痛で整体院に来院する人の多くは、病院に行って保存療法を受けても改善せずに来院します。手術は怖いし出来れば整体で良くなるのなら、ということで来院します。

また、手術を受けたけれど痛みやしびれが残っている、ということで来院する人もいます。

手術と保存療法の治療成績(長期)には差が見られない

すでに手術を受けた人には少し残念な話になってしまうかもしれませんが、興味深い調査結果があります。

椎間板ヘルニアの手術を受けた人たちと、保存療法を受けた人たちの、その後の経過を追った調査です。それによると短期成績は手術をした方が良いですが、4年後以降はほとんど差がなかったそうです。

坐骨神経痛を訴える椎間板ヘルニア患者126名を対象に、保存療法群とラブ法群の治療成績を10年間追跡したRCT(ランダム化比較試験)によると、1年目まではラブ法群が優れていたが4年目以降は両群間に差はなくなっていた。長期成績は両群とも同じ。

Weber H.Spine (Phila Pa 1976).1983 Mar;8(2):131-40.PMID:6857385

2年間にわたる追跡調査によると、坐骨神経痛を有する椎間板ヘルニアの手術は保存療法より有益とはいえない。職場復帰率や長期活動障害率においても手術の優位性は認められなかった。坐骨神経痛は手術を受けるか否かに関わらず時間が経てば改善する。

Atlas SJ, Tosteson TD, Blood EA, Skinner JS, Pransky GS, Weinstein JN.Spine(PhilaPa1976).2010Jan1;35(1):8997.doi:10.1097/BRS.0b013e3181c68047.PMID:20023603

引用:http://youtuu.tokyo/lumbar-disk-herniationより

つまり、手術を選択しても保存療法を選択しても、数年後の症状には差がないということです。手術をして痛みが改善してもまた痛くなる人もいれば、手術をしなくても治る人は治ってしまうということです。

坐骨神経痛の改善対策

冷え対策

耐えられない程の激痛以外は基本的に温めると良いです。坐骨神経痛のクライアントさんは足が冷えると訴える人も多いです。血流が悪いと坐骨神経痛も回復しにくいです。

入浴でゆっくり温めたり、日中は使い捨てカイロを貼るのも有効です。

冬場は特に下半身を冷やさないようにしてください。厚手のソックスを履いたり、ズボンの下にスパッツを履いたりするとよいでしょう。

飲酒・喫煙について

坐骨神経痛はお酒を飲んだ後に痛みが強まる人が多いです。理由は血流が変化することと、ビタミン不足を引き起こすことです。同様に喫煙もビタミンを消費しますし血流が悪くなります。

禁酒、禁煙が出来れば良いですがやめることで余計にストレスがたまる人もいます。自分の責任でコントロールして下さい。

栄養面の改善

坐骨神経痛に限らず、身体に何かしらの痛みを感じている人がまず最初に取組むことは甘いものを辞めると良いです。お砂糖や砂糖を使っているお菓子、スイーツの類です。ジュースも缶コーヒーなども辞めた方が良いです。

砂糖も体内のビタミンをごっそり奪ってしまいます。神経が過敏になり痛みを強く感じやすくなります。

操体法・ストレッチ等

自分でストレッチや操体法を行うのも有効です。通院している方には自分で自宅でセルフケアも出来るように指導しています。操体法で大切なのは気持ちが良いようにやることです。

形だけ真似してやっても良い効果は得られません。身体が喜ぶように行うのがコツです。操体法を知らなくても、ストレッチをしてみて気持ちよく感じるのであればやってみると何かしら良い効果が得られると思います。

読書療法

このページを作成するときに参考にした書籍を紹介します。坐骨神経痛の読書療法としてもお薦めの本ばかりです。従来の腰痛治療とは違った見方、理論が紹介されています。

読書療法とは、本を読むことで腰痛や坐骨神経痛が改善する方法です。腰痛や坐骨神経痛に対する認識を脳から変えていくのです。読むと安心する本ばかりです。

ここで紹介していない本でも読書療法としてお薦めの本もありますので、また別の機会に紹介していきます。

腰痛ガイドブック 根拠に基づく治療戦略(CD付)
長谷川 淳史 田中 敦子(CDナレーション)
4393713753

腰痛診療ガイドライン 2012
日本整形外科学会
4524269428

あなたの腰痛が治りにくい本当の理由 (—科学的根拠に基づく最前線の治療と予防)
紺野愼一
4799101404

トリガーポイントブロックで腰痛は治る!
加茂整形外科医院院長 加茂 淳
4938939525